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冬の釧路湿原、ワカサギ釣りスペシャル

釧路湿原のワカサギについて

 

 

科:キュウリウオ科 Osmeridae

属:ワカサギ属 Hypomesus

種:ワカサギ H. nipponensis

学名:Hypomesus nipponensis McAllister, 1963

和名:ワカサギ

英名:Japanese smelt

 

●形態・特徴:
チカやイシカリワカサギといった同じキュウリウオ科に属する近縁種と酷似し、意外ときちんと見分けられていない。本種は縦列鱗数が60枚以下とチカと比較し少なく、イシカリワカサギよりも脂鰭が小さいことなどが特徴である。

●生息環境:
亜寒帯域における冬の湖沼の氷上で、穴釣りを行うことは風物詩として有名であり、このため淡水性の魚だと思われていることが多いようである。しかし、湖沼のほかに海域(内湾域)や河川の河口・下流域にも生息するため、実際には淡水域から沿岸域まで幅広く回遊しているのが本来の生態である。

産卵は河川および湖沼の岸や底で行われ、その際に海域・汽水域から湖沼へ遡上し、再び海域・汽水域へ降下するという行動を繰り返す姿が見られる。

ダム湖のように海域・汽水域へ下れない場合は一生を淡水域で過ごす。

釧路湿原のワカサギは遡河回遊魚で、夏には海へと下っていきます。

○4〜5月:湖に流入する河川で産卵  卵は1mmほどで、1匹の産卵数は1000-2万粒にも達する。

○5〜6月:孵化して湖へ

○7〜9月:ほとんどが海へと下る(イシカリワカサギは降海しない)

○10〜12月:降海したワカサギが遡上。

○12〜3月:湖で越冬 ← ワカサギ釣り!

寿命は1年で、産卵が終わった親魚は死んでしまうが、北海道など寒冷な地域では2年魚、3年魚も見られる。

●食性:
動物プランクトンを主食とする。釣り餌では、アミ類や赤虫(ユスリカ類の幼虫)がよく利用されている。

富栄養化などの水質汚濁に対する適応力が高く、そのような湖沼でふつうに見られる。

水質良好であることを表現する意図で「ワカサギが住める○○湖(沼)」といった解説がなされることがあるが、むしろ「ワカサギしか住めない」とみる方が妥当な場合もある。

もう一歩進めると、「ワカサギが住めない○○湖」というのは水質良行であるという証。しかしながら残念なことに釧路川の源流である屈斜路湖はもともと「ワカサギが住めない」ほど水質良行であったが、温泉廃水や生活廃水の影響からか近年、移植されたワカサギが殖え、「トゲウオ」が激減。これに対して弟子屈町は町長をはじめ皆、諸手をあげて喜んでいる。水質がどんどん悪くなっている 証だというのに。


●その他:
美味な魚で、フライや天ぷら種として有名。鮮魚店・鮮魚売場で見かけることも珍しくない水産上重要種である。特に湖沼において遊漁(特に釣り)の対象種として人気が高いが、東北・北海道の海域で行われているチカ釣りで釣れた魚をよく観察すると、チカではなく本種だったというケースも多い。

このような需要の高さから、全国的に移植が盛んに行われている。しかし、石狩川水系では在来個体群が移植個体群(網走湖産)に駆逐されたという報告もあるように、在来個体群への悪影響(特に遺伝的多様性の減少)が懸念されている。

     

釧路湿原に生息する、もう一種類のワカサギについて

和名:イシカリワカサギ 

学名:Hypomesus olidus

原記載:Pallas, P. S. Zoographia Rosso-Asiatica. Vol. 3. p. 391

英名:Pond smelt

準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)(2007年)

 

 

解説

北海道以北の北太平洋北部に広く分布する。本種は、1957年に浮き袋の前端より後方に気道管が連結していることによりワカサギ(H. nipponensis、浮き袋の前端に気道管が連結)と明瞭に区別できるようになった。2002年までに6つの湖沼と2河川(合計5水系)での分布が記録されている。ロシアでは降海するが、北海道では降海しないと言われている。生息環境が限定された止水域(湖沼、古川)で多くの個体が記録され、流水域 (河川)での出現頻度は低い。体色はワカサギより暗色または黄みがかり、体型は丸みを帯びているなどの差異があるが、ワカサギと酷似しているため多くワカサギの試料の中から確実に選別する努力によって分布域は拡がる可能性がある。

釣ったワカサギをよ〜く観察してみよう。


 

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